2020年11月に完成した、横浜エコハウスが販売する建売住宅。モデルハウスとしてお客様を案内する場所としても使われるこの家は、インテリアコーディネーターの荒井詩万さんがプロデュースする「Boutique Home」とのコラボレーションにより誕生しました。グリーンの壁が印象的なインテリアに、risoraも溶け込んでいます。今回はそのコーディネートの全貌をご紹介します。

「このまま建てたい」という声が続出のモデルハウス

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▲横浜エコハウスの工藤遼太郎さん(左)とインテリアコーディネーターの荒井詩万さん(右)。両者のコラボレーションによる実棟は好評で、今後も建築が予定されているという。

LDKの壁の2面を覆う落ち着きのあるグリーンと、どこかほっとするようなリラックス感のあるインテリア。家具や小物を含めて、このまま丸ごと購入することも可能だというこの家は、横浜市内で建売住宅の販売を手がける「横浜エコハウス」のモデルハウスとして建てられたもの。

「注文住宅とは異なり、間取りやインテリアについてエンドユーザーである住まい手と直接対話する機会はこれまで少なかった」と語るのは、横浜エコハウスで営業部長を務める工藤遼太郎さん。

より魅力の高い住宅をつくり、販売していくための施策として、発信力のあるパートナーとして声をかけたのがインテリアコーディネーターの荒井詩万さんでした。

荒井さんは個人宅のインテリアコーディネートを中心に手掛けながら、2020年、ホームステージング会社とともに「Boutique Home」を立ち上げ。“海外ドラマのようなおしゃれな家”をテーマに、床材や壁材・建具・設備機器、家具や照明、植物・小物までトータルコーディネートした空間を、全国のビルダーに向けて提案しています。

「2020年に販売した、荒井さんとのコラボレーション第一弾となる1棟目は大変好評で、公開後即売となりました。モデルハウスとして公開した期間に足を運んでくださったお客様の成約率は80%を超え、考え方や価格を含め、お客様に喜んでいただけたと実感しています。内見されたお客様からは『このまま建てたいです』という声も聞かれました。

その評価を受けて荒井さんに2棟目のご依頼をし、完成したのが今回の家です」(工藤さん)

住まい手のイメージは、若い夫婦と子供が2人の4人家族。アウトドアやスポーツが好きなアクティブなファミリーを想定しながら、なかなか外に出かけられない昨今の事情も鑑みて、「家の中にいながら外を感じられる空間」がキーワードになりました。

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▲荒井さん作成のプレゼンシート。即採用となり、実際の空間と比べて見てもほぼそのままのプランが実現した。右下に見えている壁紙や床タイルのサンプルも合わせて持参したそう。

打ち合わせを受けて荒井さんから提案したインテリアイメージは「アーバンナチュラル」。

「おうち時間が増えている今、なかなか外に遊びにいけないけれど、外の雰囲気を味わいながら楽しめるようにできないか、と考えたところからスタートしました」(荒井さん)

特徴的なのは、2面に大胆に使ったグリーンの壁紙。この緑をベースにしながら、ナチュラルな素材を使ったり、カラフルな小物を加えたりしていったそう。

床材は白に近い木目を選び、明るい雰囲気に。ドアやキッチンの素材にも同様のイメージの素材をセレクトし、ナチュラルさとカジュアルさをあわせもつインテリアのベースをつくっています。

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▲キッチンはLIXILのシステムキッチンを採用。明るい木目調で、まさに海外ドラマのよう。かまちをまわしたデザインにアイアンの取っ手という組み合わせは荒井さんセレクト。

間取りは1階にLDKと浴室・洗面スペース、2階に3つの個室を配置した3LDK。リモートワークの機会が増えていることから、LDKの一角にはワークスペースが設けられました。壁に合わせて、デスクの天板もグリーンで統一。マグネット式の壁を使い、使い勝手も考えられています。
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▲リビングの一角にあるワークスペースは、昨今のリモートワーク化の流れを汲んで設けられたもの。

家の中にいても自然を感じられるインテリアコーディネートのポイント

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▲リビング側から、ダイニングとキッチンを眺めたところ。LDKのどこにいても、家族の顔が見えてコミュニケーションをとることができる。

インテリアテーマである「アーバンナチュラル」に合わせて、壁や床や、建具などのベースを決定。その上で、家具や小物をセレクトし、インテリアを味付けしていったという荒井さん。細かいところまで、荒井さんのコーディネートテクニックが光ります。

家族が集まる場所でもあり、お客様を迎える場所でもあるリビングは、「ドアを開けたときに一番に目に入るところにフォーカルポイント(アイキャッチとなる場所)をつくること」がインテリアコーディネートの鉄則。
今回のモデルハウスでは、背の高い観葉植物とソファスペースがフォーカルポイントになっています。

「ソファは、アーバンナチュラルというテーマから、肘掛けや脚にナチュラルな木材が使われているものを選びました。そのほかにも、民族的でプリミティブなイメージも重要なモチーフです。サイドテーブルやクッションカバーの柄、飾った小物に、民族的なイメージをプラスしています」(荒井さん)

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▲色を足したクッション、ナチュラル素材の肘掛けをもつソファ、カラフルなラグ、プリミティブなイメージのあるサイドテーブルと、見せたい要素が詰まったソファコーナー。

「どの色をどこにどのくらい足すか」については緻密に計算している、と荒井さん。ソファ前に置かれているカラフルなラグもポイントになっていると言います。

「いろんな色が入っているので、カラフルなラグは使いやすいアイテムでもあります。壁の緑や、ソファの上に置いたクッションの色ともリンクさせることができます」

そして色だけでなく、素材やデザインも大切な要素。自然を感じられるようなイメージをつくるため、風が通るような“抜け感”のあるデザインを選んでいるそう。

背中の抜けたダイニングチェアや鳥かごのようなランプも、そうした視点で選ばれたもの。

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▲ダイニングチェアは「アーバンナチュラル」のテーマに合わせて、ナチュラルな素材を使い、背中に抜けのあるデザインのものを2種類セレクト。

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▲鳥かごのようなデザインのランプは、明かりをつけると天井に影が落ち、空間に広がりをもたせてくれる。

「この家で暮らすご家族は、アウトドアもお好きで、キャンプなども楽しむアクティブな方々を想定しています。鳥かごの形をした照明からもれる光は、陰影が素敵で、キャンプでランタンをともしたようなイメージがありますよね」(荒井さん)

テレビ台の上やキッチンのオープン棚、ダイニングテーブル上の花瓶には、カラフルなものや「顔」をテーマにしたアートや小物が置かれ、空間のアクセントに。ナチュラル、カラフルでカジュアル、プリミティブ、民族的と、さまざまなテイストをちりばめながらもまとまりのある空間になっているのは、プロならではのテクニックです。

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▲民族的なイメージから派生した、“顔”モチーフの小物。テレビ台の上にも、同じような小物が置かれている。

ここにあることが“必然”のエアコン
risoraだから、壁になじむインテリアになった

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▲LDKのエアコンは「risora Custom Style」のモスグリーンをチョイス。グリーンの壁に馴染んでいる。

グリーンの壁が印象的で、住む人の好みが一目で理解できるようなモデルハウス。荒井さんの提案通りに工事や家具や小物の手配が進んでいったものの、途中段階でひとつ問題になったことがありました。

それは、エアコンの設置場所と色。

「最初の段階では、LDKのエアコンはキッチン側の白い壁につける予定でした。しかし工事が進んでいくと、取り付け位置を変更する必要が出てきてしまったのです。
最終的な設置場所はリビングの奥と決まったのですが、この壁はグリーンにすることになっていたので、一般的な白いエアコンではせっかくの壁が台無しになってしまうと、悩むことになりました」(工藤さん)

設置場所の変更を受け、グリーンの壁を邪魔しないエアコンとして荒井さんがセレクトしたのが、risora Custom Styleのモスグリーンでした。

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▲キッチンからダイニング・リビングを眺めたところ。モスグリーンのrisoraが壁に馴染み、アーバンナチュラルな世界観にマッチしている。

「グリーンの壁に白いエアコンは目立ちすぎてしまうため取り付けたくはなかったので、さてどうしようかと思っていたころ、ちょうどrisora-airの取材を受けました(※過去記事はこちら)。その時、カラーバリエーションの中にモスグリーンがあることを知りました。
それ以前もrisoraの存在は知っていたのですが、こんなに豊富にバリエーションがあることは知りませんでした。色見本でモスグリーンを見てすぐに『ピン!』と来て。さっそく横浜エコハウスさんに提案したんです」(荒井さん)

こうして、モデルハウスの一番の特徴ともいえるグリーンの壁になじむようにと選ばれたモスグリーンのrisora。キッチン側から見てもグリーンの壁と同じトーンで揃えられ、ナチュラルな家具やカラフルな小物の魅力を引き立てています。

「2020年末にこのモデルハウスからインスタライブを行ったのですが、そのときの視聴者からも『エアコンが壁を邪魔していなくていいですね』『この空間に必然のエアコンですね』というコメントをいただきました。
住宅のビルダーさんは、いろんな人に合うよう、壁や床には無難な色をセレクトされるケースも多いのですが、今回のモデルハウスのように壁に大胆に色を使うという提案は、インテリアコーディネーターとして今後もどんどん発信していきたいと思っています。
そのときに、risoraがあることで壁から浮かず、インテリアテーマを邪魔しないエアコンが選べるのはとてもいいことだと思います。
それに、今回は壁に溶け込ませる提案でしたが、あえてビビッドな色を選んで、ポイントにして目立たせるというのもいいですよね」(荒井さん)

横浜エコハウスとBoutique Homeとのコラボレーションは今後も計画されており、春には3棟目のモデルハウスが建つそう。そちらは今回のインテリアとはまた異なるイメージでコーディネートされる予定とのことで、完成が楽しみです。

※今回紹介した物件はモデルハウスとして公開中。見学予約も可能なので、気になる方は下記よりお問い合わせください。

横浜エコハウス
https://yokohama-ecohouse.com/

 

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荒井詩万(あらい しま)
CHIC INTERIOR PLANNING インテリアコーディネーター。戸建住宅やマンションのインテリアコーディネート・リノベーションを数多く手掛け、住まう人に寄り添う心地よい空間づくりが人気。大学やインテリアスクール講師、NHK「あさイチ」、日本テレビ「ヒルナンデス!」などメディア出演多数。著書に『今あるもので「あか抜けた」部屋になる。』がある。2020年に自身プロデュースによる「Boutique Home」を立ち上げ、全国のビルダーとコラボレーションするなど活動の幅を広げている。
https://chic-interior.net/