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ダイキン住宅設備

五十嵐 久枝 × 坂本 二郎 対談 「スタンダードとしてのエアスタイル」


快適な住まいには快適な空気環境が不可欠―。エアコンと住環境設計を高度に融合させた、優れた住宅事例を選んで紹介する『エアスタイルコンテスト』は今回で第4回目を迎えた。審査員を務めたインテリアデザイナーの五十嵐久枝氏とLiVES編集長の坂本二郎氏が、今回の『エアスタイルコンテスト』を振り返る。




坂本 第4回となる今回のエアスタイルコンテストも興味深い事例が多く集まりました。全体の傾向としてはいかがでしたか?

五十嵐 今回際立って印象的だったのは、全体を通して設計者も施主も、エアスタイルをよく研究されてきているなと感じたことです。施主が自分たちの価値観、つまりライフスタイルを実現するためにどのような空気環境が理想なのかを意識としてはっきりと捉え、設計者はそれを具現化する際にさまざまなトライアルをされている。図面上にエアコンを「置いていく」という単純なものではなく、さらに突き詰めて研究し、視覚的にも空気的にもより快適な住環境を手に入れようという段階に入ってきているのかなと思いますね。回を重ねるごとに確実に進歩しているのが分かります。

坂本 そうですね。もはやエアコンはただの設備機器ではなく、建築やインテリアの素材のひとつとして扱われてきていると感じます。人はそれぞれの好みがありますけど、空調でも同じ。これまでは一律にやってきたものを、近年では内装仕上げを選ぶように、個々人にどれだけフィットさせるかが試行されているのでしょう。以前だったらエアコンは住まいに有るかどうかという、ハードウェアとしての認識だったと思うんです。しかし今日では、住まいや生活に好みの空気を供給してくれるソフトウェアという感覚の方が近くなってきているのではないでしょうか。

五十嵐 そういった意味では、「エアスタイル」は、“明るさ”や“広さ”といった、住宅の住み心地の良さという身体的な感覚と並列で考えられるようになってきた気がしますよね。見えないものに豊かさを感じる。そういった価値感のレベルが高くなってきているのだと思います。

SPROUT 坂本 大賞を受賞した3つの事例は特にその意識が強く感じられる事例でした。トライアルという意味では、大賞の『SPROUT』は自然の循環と住まい手のライフスタイルとの同化を実現するための提案が素晴らしい。こういったエコロジーに関心のある施主は増えていますが、生活の上でそれを実現することに向けて積極的に設計がなされています。土とともに生きるシンプルな、だけど現代的な暮らしに、エアコンも一体となった空調計画が見事です。

五十嵐 インテリアとの融合で言うと、大賞の『呉の家』と『poco・wawa・copo』は秀逸でしたね。単純に意匠的な融合というだけではなく、これらの事例はデザインが空気環境づくりとも融合しています。これはデザインの早い段階から空調計画が一緒に、しかも重要なウェイトをもって考えられているからなのでしょう。

HOUSE OF KUREpoco・wawa・copo

坂本 前者は都市の真ん中、後者は山間部という違いはありますが、効率的な空気循環や、大きな空気容量への対処、絵画の制作に配慮した湿度調整といった、それぞれの立地条件や生活の事情に合った空気環境づくりなどが良く工夫された好事例でした。
次に、優秀賞の各事例はどのように評価されますか?

五十嵐 建築家のつくり上げたフレキシブルな構造に沿って設備計画がうまく考えられているのは『スキマのある家』。鉄筋コンクリートの打放しとスチール構造のリブを持つ天井が印象的な内観ですが、そのハードな言葉の印象とは打って変わってシンプルかつやさしく仕上げられています。これは空調機器の納まりが、ディティールまで丁寧に設計されているからでしょう。



坂本 自然との融和というテーマでは、『atami KK-HOUSE』と『桜の家』。いずれも日本ならではの“涼”の感覚や、季節感を取り込めるように意図された住宅です。外部と連動した空間の開放感を損なわないように、インテリアとの調和で存在の主張を避けた空調機器の納め方も秀逸でした。それから、自然の中の住宅ですが、空調計画の実験的事例もありましたね。

五十嵐 『所沢の家』ですね。大学教授である施主は空調のエキスパートで、意欲的にご自分のアイディアを形にされていて興味深い。3層の住宅なのですが、実際は大きなワンルーム空間。その中を暖気と冷気の性質を利用して組み上げた立体的で機能的な空調計画です。プロならではの冒険的作品でしょう。『オープンテラスの家』はインテリアとエアコンがうまく調和した事例ですが、これはダイキンエアコンの選択肢の多さがキーになっています。多くの機種の中から部屋の空気容量に合ったものを選択できるだけでなく、比較的豊富なパネルカラーのバリエーションから部屋のイメージに合った色を選ぶことができる点を上手に活用していますね。



坂本 ディティールということについては、『なかじょう亭』はこだわっていますね。配管の処理方法をはじめとして、隅々まで意匠に配慮しています。しかしエアコンの配置計画もしっかり考えられている。設備を隠蔽するという考え方もある一方、ここでは空調機器も配管までインテリアとして捉えて見せるという感覚があります。

五十嵐 『ケヤキアパートメント』は受賞作の中では唯一の集合住宅事例ですが、賃貸では常につきまとうコストパフォーマンス重視ではなく、住まい手の暮らしやすさに寄り添って、各部屋ごとに空調機器の効率や納まりの美しさを追求しているのが素晴らしいですね。配管だけでなく電源コードも見せない徹底ぶり。部屋ごとに異なるエアコン選択も、部屋数が多いので相当な苦労だったと思います。賃貸集合住宅でもエアコンはここまでできるという良い事例でした。

KEYAKI APARTMENT 坂本 デザインがいいことは当然、なおかつその上で“質の良さ”を大切にするといった、ものごとの“本質”を追究されていると感じる事例が多くなっています。ダイキンエアコンが支持される理由として、応募者から挙げられた声、空調専門メーカーの安心感や、機能性の高さや使いやすさといった堅実さなどは、そのような指向の表れなのかもしれません。では、今後のエアスタイルコンテストについて、期待することは何でしょうか。

五十嵐 今回の応募事例の中にはペットのいる住宅がいくつかありました。ペットも家族の一員ですから、そういうメンバーに対してどのように配慮するかという考え方が一歩進んだ住宅は面白いかもしれません。飼い主不在の昼間など、空気の状態が気になりますよね。人間の快適性も突き詰めながら、ペットの、特に夏場の暑さなどに対処するエアスタイルは気になります。

坂本  なるほど。では僕も、ひとつ挙げるとすればリノベーションです。近年では住宅ストックの増加と経済環境から注目されています。これにエアスタイルという考え方が加わればどうなるか。間取りやインテリアを変えるのと同じ感覚で空調機器を変えていく―エアコンを変えることで空気がリノベーションされる、という考え方は面白いのではないでしょうか。空間の快適性は確実に向上しますし、実際に古い機器から交換するだけで電気代などのランニングコストも大きく下がります。これからの社会と住宅の環境を考える上では重要なファクターかもしれませんね。

五十嵐 視覚的・意匠的に良くなっているのは当たり前になってきました。それ以上のレベルが求められている時期に来ていますよね。目に見えない価値をプラスするという方向に。次は何がプラスされるのか、楽しみにしています。

インテリアデザイナー 五十嵐 久枝
LiVES編集長 坂本 二郎

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