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壁掛形エアコン
  • risoraのhiwa episode2 大風量と静音性の両立

ダイキンがこだわる空気質を実現するために、どのような機構を採用し、
どこにレイアウトするか、課題はまだまだ山積していました。
その中でも、とくに大きな課題が「大風量と静音性という相反する要素の両立」でした。

「部品がなければ、ゼロから作る」 「部品がなければ、ゼロから作る」

薄くてコンパクトな製品本体の中に、大型リビングでも対応できるほどの大風量を
作り出すための大きなファンを搭載すると、
不快な「音」がどこからともなく発生するという問題に、開発チームは頭を悩ませていました。

大下は学生時代に建築学を学び、音環境を専攻したこともあり
「音」に関しては見識をもっていました。

「気になる音の対策を考えようとしても、どこから音が発生しているのかなかなか分からない。
そこで小さなマイクを室内機のあちらこちらから入れて、
拾った音を開発チーム全員で何度も聞いたりしていました。
それで、ようやく熱交換器を通過した風の乱れが、気流を送り出すファンと干渉することで
耳障りな「風切り音」となって発生していることを突き止めたのです」

大型のリビングをすばやく快適にするためには
「大風量」の気流を送り出すことのできるファンが重要な要素となってきます。
しかし、小さい室内機本体には風が干渉しないように、
ファンと熱交換器との距離を確保するスペースの余裕はありません。
また、大型リビングまで利用できるよう大型クラス並みの7.1kwに
対応できる性能が必要と考えると、ファンの直径を小さくすることは論外でした。

この問題を解決するために、開発メンバーは新しいファンの開発に着手します。
ファンの大きさや性能を変えずに耳障りな音を解消するために、
ファンの連結数を従来の11から20連結に増やし、音の発生を分散化しました。
さらにファンの羽根に切り込みを入れることで空気抵抗を減らし、
風切音を抑制することに成功したのです。このようにして生まれたのが
新開発「多連結ソウエッジクロスフローファン」です。

岡本は大下の日々の取り組みを間近で見ていました。

「大下は中堅社員のなかでもロジカルな思考をしっかりと持っています。
もっともコアな部分を担当しながらも、自分の部品だけに注力するのではなく、
他の部品の進捗にも気を配る広い視野に立って開発に取り組んでいました。
つねに若手をフォローする良き指導者でもあり、彼女の存在によって、
各自の意見が気兼ねなく言い合える風通しのよいチームが生まれました。
時には、なかなか出口が見えない開発の仕事において
各々が支え合って前進できる信頼感は欠かせません。」

「1mmとの戦いの先に見えた光」 「1mmとの戦いの先に見えた光」

ファンのような主要部品の開発以外にも、やるべきことはまだまだありました。

「risora」は、運転中も美しいスクエアなフォルムを保つことも
デザインのこだわりのひとつでした。
そのためには、空気の吸い込み口となる前面パネルを上下に動かすために
専用のモーター、ギア、アームを内蔵する必要がありました。
しかし、それらのパーツを配置するスペースが、このコンパクトな室内機の内部には、
どこにも見当たりませんでした。

どういう機構を採用して、それをどこにレイアウトすれば解決できるのか、
チーム全員が数え切れないほどシミュレーションを繰り返しました。
そして、ようやく見つけ出したのが、熱交換器上部の小さなスペース。
そのスペースをうまく使って、小ささとパワーを両立した『遊星ギア』を
新たに採用することで、ようやくパネルを持ち上げることが可能になったのです。

「目標とする性能はそのままに、パネルを動かすためのパーツを
極限までコンパクトにする。それらをデッドスペースに収める。
まさに1mmとの戦いでした。
3DのCADでシミュレーションし、検証をしている社員が
“1mmがものすごく大きく見える”とつぶやくほど、
極小の単位の世界に没頭して開発をつづけたのです。
その結果、普段は使わないようなスペースを活用し、パネルを動かすことに成功しました。」

ひとつひとつの部品の採用から配置まで、本当にゼロからレイアウトを考え直して
「risora」は組み上げられました。
ファンやフラップといった主要部品から、前面パネルの可動部などの細かい機構まで、
全てゼロから見直し、苦労して実現した構造は、まさにダイキンが培ってきた
既存の技術のすべてを積み上げて取り組んだ、薄さや小ささへの挑戦でした。

こうして、度重なる技術的なハードルをひとつひとつ乗り越えてきたrisonaプロジェクトは、
ついに、その核心ともいえる「デザイン」を生み出す次なる挑戦へとステップを進めることとなります。

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